ロシア軍は、ウクライナ東部2州のうちルハンシク州での完全掌握に向け、ウクライナ側の最後の拠点とされるセベロドネツクへの攻勢を強めています。ルハンシク州の知事は「今週が決定的なものになるだろう」と述べ、ロシア側との攻防が重要な局面に差しかかっているという認識を示しました。
ロシア国防省は、26日もウクライナ東部ドネツク州や南部ミコライウ州などで、弾薬庫や軍事施設を破壊したと発表しました。
中でもロシア側は、東部ルハンシク州では、すでにおよそ95%を掌握したとしていて、ウクライナ側の最後の拠点とされるセベロドネツクへの攻勢を強めています。
ルハンシク州のガイダイ知事は25日、地元のテレビで「セベロドネツクへの攻撃が、空爆、砲撃などで大きく増加している。街は一日中破壊され続けている」と訴えました。
そのうえで「今週が決定的なものになるだろう」と述べ、ロシア側との攻防が重要な局面に差しかかっているという認識を示しました。
一方、ロシア国防省は25日、ウクライナ南部に面した黒海とアゾフ海の港で外国の船舶のために「海の人道回廊を開く」と発表しました。
国防省によりますと、ウクライナ南部などの港は封鎖されているため、軍事侵攻以来16か国から70隻の船が足止めとなっているということです。
今後、南部オデーサや東部マリウポリなどの港から船が出るための安全なルートを提供すると主張しています。
また、ロシアの国営通信などによりますと、ロシア外務省のルデンコ次官は25日、世界的な食料問題を解決するためとして、ウクライナの港から穀物などを輸出するため海の回廊を提供する用意があると述べたということです。
一方で、ルデンコ次官は「ロシアに科された制裁の解除が必要だ」とも主張し、ウクライナ側は「国際社会への明らかな恐喝だ」と強く批判しています。
ロシア軍が黒海の主要な港を封鎖していることで、ウクライナからの穀物の輸出が滞り、世界的な穀物価格の高騰を招いていると指摘されていて、ロシアとしては、制裁解除も要求しながら揺さぶりをかけるねらいとみられます。